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ー ー ー ー ー
仕事が休みの土曜日。
休日は、家でダラダラしていたい派の俺にしては珍しく、薄く灰色の雲に覆われた空の下を歩いていた。
理由。
人数の穴埋めとして、友人に合コンに参加して欲しいと頼まれたから。
それで今は、その友人との合流場に向かっているところ。
こういうのが苦手な俺は、はじめのうちは断っていたのだが、「今度奢るから」という餌に釣られてしまった。
まあ、「人数合わせだから、猫沢はその場にいてくれるだけでいいから!ね!」らしいので、遠慮なくそうさせてもらう。
日も暮れ、もともと曇り空で暗かった空がさらに暗くなった午後7時前。
「あ、猫沢!」
合流場に着き、その友人を探してキョロキョロしていると、男にしては高めの声が俺の名字を大きめの声で呼ぶ。
その声がした方へと視線をむけると、そこには案の定、俺をここまで呼び出した張本人、木村智がブンブンと俺に手を振りながら小走りで近づいてきていた。
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