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「あ、きたきた、木村猫沢こっち」
その男女グループのうちの1人が俺と木村の存在に気づき、声をかけながらちょいちょいと手招く。
「ごめんなー、遅れて」
そう言いながら席に腰をかける木村の後に従って、俺も空いている席へと腰をおろす。
「じゃあ、みんな揃ったところで!はじめますか!」
俺と木村に飲み物が運ばれてきたのを見届けてから、男子のメンツの中でもムードメーカーな鈴木がグラスを手に取ってかかげた。
それを合図に、乾杯、と声が次々とあがり、グラス同士がぶつかり合う音が鳴り響く。
すでに運ばれてきていた料理を、目の前に座っていた女子が取り分けて俺に差し出してくる。
…気配りできる女子っていいな。
そう思いながら皿を受け取り、ありがと、と感謝の言葉を返す。
「てか猫沢ー、久しぶりじゃんかよー」
「おー、久しぶり。元気してたか?」
特にすることもなかったので、料理を楽しんでいると、隣に座っていた、体格のいい男子が俺に喋りかけてきた。
高校の頃からの友達の、中島だ。
「元気じゃねぇよ。担当の教諭がさ、レポート魔でさ、レポート提出に追われる毎日だよ。見ろよこの隈、昨日も徹夜だったんだぜ?」
「疲れてんなら家で寝てろよ」
「は?なに猫沢、馬鹿なの?これを楽しみに俺は頑張ってるんだっつーの」
「あそ」
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