(はじめのいーっぽ)

5/10
前へ
/10ページ
次へ
「あ、きたきた、木村猫沢こっち」 その男女グループのうちの1人が俺と木村の存在に気づき、声をかけながらちょいちょいと手招く。 「ごめんなー、遅れて」 そう言いながら席に腰をかける木村の後に従って、俺も空いている席へと腰をおろす。 「じゃあ、みんな揃ったところで!はじめますか!」 俺と木村に飲み物が運ばれてきたのを見届けてから、男子のメンツの中でもムードメーカーな鈴木がグラスを手に取ってかかげた。 それを合図に、乾杯、と声が次々とあがり、グラス同士がぶつかり合う音が鳴り響く。 すでに運ばれてきていた料理を、目の前に座っていた女子が取り分けて俺に差し出してくる。 …気配りできる女子っていいな。 そう思いながら皿を受け取り、ありがと、と感謝の言葉を返す。 「てか猫沢ー、久しぶりじゃんかよー」 「おー、久しぶり。元気してたか?」 特にすることもなかったので、料理を楽しんでいると、隣に座っていた、体格のいい男子が俺に喋りかけてきた。 高校の頃からの友達の、中島だ。 「元気じゃねぇよ。担当の教諭がさ、レポート魔でさ、レポート提出に追われる毎日だよ。見ろよこの隈、昨日も徹夜だったんだぜ?」 「疲れてんなら家で寝てろよ」 「は?なに猫沢、馬鹿なの?これを楽しみに俺は頑張ってるんだっつーの」 「あそ」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加