第1章

2/7
前へ
/7ページ
次へ
 今回のは結構、面倒な事だな。人間ってのはこれだから。 やあ、俺はオプ。名前だ。職業名じゃないけれど、職業も、 猫探しがメインの探偵なんだが。相棒のマッチョヒゲと、 冴えない、儲からない稼業を細々やってる。詳しい事は、 過去の【オプ】の活動記録に、載ってるから興味あるって 珍しい変わった人は、参照して欲しい。  とにかく毎度、自己紹介するのも面倒なので、以後は これで済ます事にする。俺はオプで漆黒だから手足のみ 純白の♂猫だ。全くダメなオッサンマッチョ探偵の、 「ヒゲッち」に代わって捜査を担当している。 「ヒゲっち」は40絡み元ボディビルダーから転職した 全く不器用で目も当てられない探偵だ。本人は自分が 探偵だと思っているが、俺に言わせれば俺の助手見習い。 その程度でしかない。ああ、ちなみに人間の♂な。  さて。今回の事件、実はいきなりだが既に解決済み。 警察と探偵の決定的な違いなのだが、解決は必ずしも、 人間の気持ちを解決するとは、限らない。 俺の師匠の受け売りだが、師匠についてはいずれまた。  とにかく今回の探し猫【クリーム】は俺さえ 見落とすタイミングで、光の粒になっちまった。 結論が判れば、あとの始末はヒゲがやる。 それが俺達の仕事上の約款のようなものだ。 いつもながら、あのマッチョヒゲが最後に泣くのが いちいちムカつく。嫌いじゃないけれどムカつく。  で、仕事なので結果に限らず、事実のみを伝える。 当然なのだが、警察と違うのはタイミングである。 今回の依頼主である隣町の二丁目に住む、小学校の 4年生、ユウちゃん。人間の女の子である。 守秘義務がある、個人情報は細かくは言えない。  本名、浅黄夕(アサギ・ユウ)。2年ほど前に ヒゲっちとコンビを組む事になったキッカケ。 【あんころ餅捜索事件】の時での活躍を担ってくれた、 某姉妹の次女、鈴子ちゃんの友人である。 (詳細は【オプ -Alternation-】参照。)  隣町の事は縄張り的なテリトリーもなく。また、 少し諸事情があって、何の因果か隣町を仕切っている 「ライト」なる三毛猫の♂(レア)に一任している。  説明するのが嫌になる程、面倒くさい猫なのだが、 袖振り合うも多生の縁とは言うが、こいつの話いずれ。 (詳細は「ライト」「ラターの唄」を参照。) とにかく、情報交換だけは便利な奴だ。いつも忙しい あいつは迷惑がっているが、知ったことではない。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加