プロローグ

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ジークは人間とは次元が違う存在である精霊、その中でも特に殲滅戦に秀でている炎の精霊サラマンダー。ジークならば地平線を埋め尽くすほどの魔物の大群も滅することができるかもしれない。だがいくら強大な精霊であろうともそれだけの魔物を相手にすればただではすまない。無傷で勝利することは不可能、いや途中で力尽きる可能性の方が高い。 「でもパパ!母さんは戦えないけど私なら父さんと一緒に戦えるわ!!」 「確かにお前なら俺と一緒に戦えるだろう……だがお前が一緒に戦い、死んだら誰が母さんを守るんだ?」 「そ、それは……」 父を一人で戦わせるまいと必死に抗弁する彼女だったが父の言葉に彼女は黙り込んでしまう。 「わかったなら行くんだ。心配するな、魔物なら塵も残さん」 父の力強い言葉に安心したのか母は父と抱擁を交わし、逃げるのに最低限必要と思われるものをまとめだした。 「……パパ、必ず戻ってきてね。約束だよ?」 「ああ、約束だ」 彼女も覚悟を決め、荷物を纏め始めた。
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