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振り返ると、廊下に居る殆どの生徒が私達を見ている。
それは正面に向き直っても一緒。
それもそうだ。
クラスで人気の高いイケメン三人組の一人・吉倉君と友達の少ない私が一緒に並んで歩いているのだ。
この不釣り合いな組み合わせに驚くのは無理もない。
「そ、それじゃあ」
傍を離れようと早足で吉倉君を抜き、教室に入ろうとした時。
「あれ、航と倉元さん」
正面からやってきたのは滝内君だった。
私なんか無視しても良かったのに、馴れ馴れしく名前を呼ぶものだから視線はより一層集中した。
「二人で何してんの」
「あぁそうだ亮也。あのさ」
「そういえば倉元さん! 昨日のあの返事何?」
「えっ」
滝本君のマイペースっぷりに心底驚いてしまう。
吉倉君が話そうとしていたのに割り込んでくるなんて!
吉倉君は「ゲームをやめよう」と切り出すつもりだったろうに……。
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