Sweet heart memories

「菜花ちゃん、お誕生日おめでとうっ!!」

「実藤(さねふじ)さん、29歳のお誕生日おめでとうございます！」

「あっ、ありがとう！」

１日早い誕生会。

同僚たちが休憩中の私の元へケーキを運んできてくれる。

と言っても、このケーキはさっきまで先輩社員が飾り付けをしていた自社の製品だ。

チョコプレートに書かれた“Happy Birtyday for Nanoka”の文字。

この筆跡はきっと、同僚であり幼稚園時代からの幼馴染・真咲(まさき)のものだろう。

「真咲さん、接客が長引いて休憩入れなくって・・・。

先に早番のメンバーで誕生会やっててって言われたので、早速始めましょう！」

後輩たちは、休憩室の奥にあるコーヒースペースに向かい飲み物を準備してくれる。

主役の私は休憩室のテーブルに掛け、作業を進める彼女たちの様子を静かに伺っていた。