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―――『コンコンコン・・・―――』
談笑の中に響くノックの音。
間もなく開かれたドアからは、私たちの上司である男性が顔を出した。
「実藤さん、いる?」
その視線は私ではなく、ドアの近くにいた別のスタッフへと注がれている。
「あ、いますよ。
菜花さん、常務が呼んでます!」
声を掛けられるよりも先に彼の方を見つめていた。
彼の顔は真咲ととてもよく似ていて、彼らが兄妹であるという事が一目でわかる程だ。
―――今日もカッコイイ・・・。
20年ぶりの再会が本当に嬉しかった。
北菓庵販売部の総責任者兼株式会社大堀製菓の常務としてこの街に戻ってきた彼。
この大堀健介さんは、私がずっと思い続けている初恋の人だ。
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