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「あの、美沙ちゃんはさ…好きな人いる?」
「えっ…!?」
帰り道。仲良く志穂と話していたのだがいきなりそんなことを聞かれて美沙は驚いた。志穂が恋愛の話をすることなんてほとんどなかったから。
「ま、まあ、いるよ……///」
私の好きな人…立花桔平さん。
少し歳の離れた幼なじみで、子供の頃からずっと一緒だった。男の子にいじめられてる私を何度も助けてくれたり…そういや、桔平お兄ちゃんのお嫁さんになる!とか言ってた記憶がある。
今思えば初恋だったなあ…
「どうかした?」
「あ…いや、ごめん。ぼーっとしてた…」
もう、考えるのはやめよう。いくら桔平お兄ちゃんの事を思ってても、ここにはもういないんだから…
「志穂ちゃんはいるの?好きな人」
「…ううん、今は。でも、美沙ちゃんみたいにそういう恋ができたらいいなって思ってるんだ」
美沙ちゃんの恋ももちろん応援するからね!と言って笑う志穂は、美沙の目から見ても可愛くみえた。
「ただいま」
「あ、お帰り美沙ちゃん!」
リビングから出てきて玄関へとパタパタと走ってくるこの人は美沙の母親。その後から欠伸をして歩いてくる男の子。
「優太!」
「おー美沙…お帰りー」
「ただいま…って。何でいつもお姉ちゃんって言わないのさ!」
「だって明らかに俺より下に見えるから」
敵意をむきだしにして優太にとっかかる美沙。優太は美沙の弟。確か今は中学三年生。もうまもなく受験なのだ。
言わずと知れた美少年で、このクール感な雰囲気が女子にモテるらしい。優太はこれでも頭は良いし勉強しなくても、もうどこの高校にも入れる。
「失礼な!」
この男はデリカシーがないというかなんというか…!
「はいはいそこまで。ね、早く着替えてきて。ちょっと話したいことがあるの」
「あ…うん」
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