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「顔、赤いね」
帝先輩がクスクスと笑った。
「せ、先輩のせいです!!」
「えー、俺のせいなの?」
「そうですよ! もー、意地悪するならお菓子あげませんから!」
実は、今日帝先輩とお菓子を食べようと思って朝コンビニで買ってきたのだ。
「お菓子? 何持ってきたの?」
私は鞄の中からコンビニ袋を取り出し、その中に入っていたお菓子を手にとった。
「じゃーん! 数量限定の特上ポテチバター醤油味です!」
特上ポテチバター醤油味……。
それは、某お菓子会社が最高級の材料を使用して作った最高級のポテトチップス。
コストはかかるけど安く提供するために数量限定にしたなかなか手に入らない代物。
私は帝先輩とこのお菓子を食べる時を楽しみにしていた。
なのに……。
「乃々香ちゃんって面白いね。小学生みたいで」
「しょ、小学生……!?」
確かに身長も小さいし、うるさいかもしれないけど……小学生なんて……。
「もういいです! 1人で食べますから」
ふてくされた私は、壁際の日陰に座ってポテチの袋を開けると1枚、口に頬張った。
さすが、最高級の材料を使ってるだけある。
普通のポテチと比べて味も、食感も、香りも格段に上だ。
「美味しい~」
「えー、本当に1人で食べるの?」
不満そうな帝先輩を知らん振りし、ポテチを食べ続ける。
「…………」
不意に、ドアが開く音がした。
そっちの方を見ると帝先輩が屋上を出て行くところだった。
「あ…………」
止めるにも、もう遅い。
ドアが音を立てて閉まった。
「怒らせちゃったかな……」
頭が不安でいっぱいになった。
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