第2章「屋上の君とお話」

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次の日の放課後。 「癒ちゃんごめん! 私用事あるから先帰ってて! じゃあね!」 「えっ? ちょ、ちょっと乃々香――!」 引き止める癒ちゃんを背に、私は急いであの場所に向かう。 「(先輩、もういるかな……)」 誰にも見つからないように、東階段を上がる――。 昨日と同じ、鉄のドア。 ドアノブに手をかけて時計回りに回すと、今日は引っかからずに最後まで回った。 「先輩来てるんだ!」 ワクワクしながら屋上に入ると、声が聞こえた。 「来たね」 「帝先輩!」 私を出迎えてくれたのか、ドアのすぐ側にいた。 「こんにちは!」 「こんにちは。……乃々香ちゃん」 「はい?」 「乃々香ちゃん」 「何ですか?」 「乃々香ちゃん」 「あ……」 これってもしかして、昨日私がやったやつ……。 そう思った時、帝先輩の顔が迫ってきた――――。 「……乃々香ちゃん」 「!!」 耳元でそう囁かれた瞬間、心臓が大きく飛び跳ねた。 「昨日の仕返し」 悪戯そうな笑顔を浮かべる帝先輩。 「んな…………な………………」 ドキドキしすぎて、私は口をパクパクさせた。
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