第2章「屋上の君とお話」

10/16
前へ
/103ページ
次へ
「屋上に行く気?」 ドキッとした。   「え、えっと……」 「……やっぱり」 私の反応を見て、癒ちゃんは確信したようにそう呟いた。 「危ないから駄目だって! 立入禁止だし!」 「大丈夫だもん! 見つからないようにしてるし」 「そういう問題じゃないから」  「とにかく、もう屋上行っちゃダメ。後から困るのは乃々香だよ?」 「…………」 癒ちゃんはいつも私を心配してくれる。 親友というよりは、お母さんみたいな存在。 「あれはダメ」 って言われたら素直に従ってきたけど――。 これだけは無理だ。 「…………癒ちゃん」 「なに?」 「……ごめん。無理!」 私は勢い良く駆走りだした。 「乃々香――!」 癒ちゃんごめん。 私は振り返らず、全速力で走った。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加