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「癒ちゃん、あのね」
「ん?」
癒ちゃんはお弁当を食べる手を休め、私を見た。
「昨日の話のことなんだけど……」
「うん」
「私ね、あそこに行きたい理由があるの」
「理由?」
「うん。……あそこにね、先輩がいるんだ。放課後にその先輩とお話するのが楽しくて毎日屋上に行ってるの」
「…………」
「だから、屋上に行くことは止められない。誰にも見つからないようにするし、落ちないように気をつけるから、許してほしい」
癒ちゃんは何て言うかな。
反対されちゃうかな。
反対されたら――どうしよう。
私は拳をぎゅっと握りしめた。
やがて、癒ちゃんの口がゆっくりと開いた。
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