第4章「屋上の君の秘密」

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帝先輩じゃ……ない……? でも、髪の色も髪型も、顔も、体の大きさもいつも見る帝先輩と同じだ。 目だけが、違う。 私を見下ろすその目は、いつも笑っている帝先輩の優しい眼差しと正反対の鋭くて、冷酷な目。 私は、蛇に睨まれたカエルのように動けなくなっていた。 「み、かど……せ……んぱい……?」 「……」 その人は何も言わず、その場を去ってしまった。 ――6時間目開始のチャイムが鳴る。 その音は私の耳に入ってこなく、私は先生に話しかけられるまでその場で立ちすくんでいた。
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