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夕暮れの帰り道。
私の頭の中は帝先輩のことでごちゃごちゃしていた。
「本当だと思う?」
沈黙の中、癒ちゃんが口を開いた。
「違う……」
違うよ。
私の知ってる帝先輩は人を睨んだり殴ったりなんかしない。
いつも笑ってて、優しい眼差しで、暖かい雰囲気を出してるのが帝先輩。
でも…………。
「まだ……私の知らない先輩がいる……」
「え?」
出会ってまだ一ヶ月も経ってないんだ。
まだ帝先輩のこと全部知るわけがない。
そのことがすごく悔しい。
帝先輩の全部を知らないということが――すごく悔しい。
「私、行ってくる!!」
私は呆然とする癒ちゃんを置いて、一目散にある場所へ向かった。
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