第5章「屋上の君の過去」

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――2年前。 俺には妹がいた。 2歳年下、当時中学2年の妹――月城美愛(つきしろ みちか)。 俺と同じクリーム色の髪で、俺と真逆のストレートヘア。 元気で甘えん坊の妹。 「お兄ちゃん!」 「美愛」 ある日の夜、美愛はしかめっ面で俺の前に現れた。 「何であたしのアイス勝手に食べたの!?」 「あー……」 それは、美愛の大好物――パリッとしたチョコがアクセントのモナカだ。 5日も冷凍庫に入れっぱなしだったため、俺はてっきり忘れてるんだと思って食べてしまったのだが、美愛は金曜日の今日まで楽しみに取っておいていたらしい。 俺は両手のひらを合わせて謝る。 「ごめんごめん。土曜日の文化祭でいっぱい奢るから許して!」 「許さない! あたしは今日までずっと楽しみにしてたんだから!」 「ごめんってー」 「お兄ちゃんのバカ!!」 そう言って、美愛は部屋を出て行ってしまった。
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