第5章「屋上の君の過去」

4/11
前へ
/103ページ
次へ
数分後、俺は自由時間になった。 「何から食べる?」 隣を歩く美愛に聞くと、パンフレットを見ながら迷う素振りを見せた。 「う~ん……何から食べようかな~?」 「とりあえず飲み物でもどう? 俺喉乾いちゃった」 「じゃあここ! タピオカ!」 「りょーかい」 ――――1時間後。 「はぁ~食べた食べた!」 タピオカ、クッキー、チョコバナナ、焼き鳥、フライドポテト、冷やしパイン……と、美愛は出店のほとんどを食べ尽くした。 それでもまだ足りないのか、2年4組が経営しているカフェで紅茶とケーキを嗜んでいる。 自分の妹の胃袋がこんなに大きいとは知らず、俺は目を疑った。 「み……美愛って……こんなに大食いだったっけ?」 「こういう時だけは別なの!」 別腹……というものなのか。 その辺はよく分からないが、満足そうに笑っている美愛の顔を見ると、俺も自然と顔が綻んだ。    
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加