第4章

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「尚澄、ごめん。」 綾華は謝った……。 いきなり、彼女が友達を叩いたら動揺するよね。 感情的になっちゃった……。 「綾華は、悪くないよ。 しかし、美帆ちゃんきょーれつだなあ。 女って、怖いな。」 「………………美帆の不倫相手、 妹の夏帆の彼氏かも知れないし、最低よ。」 「店、戻るんだろう?」 「ううん。このまま帰る。 棗も真侑も、夏帆のそばにいるし… 私、今…夏帆にどんな顔していいかわかんない。 叩いたことも、妊娠疑いもぶちまけてしまいそうで怖い……。」 「だよな。彼女を送った様子を聞かれるだろうしな。」 夏帆にしたらきついよ。 不倫されて、挙げ句妊娠もしてたら。 アッサリおろすとか…ふざけてる。 「夏帆にはもちろんだけど、棗と真侑にも、 このまま伏せた方がいいよね。 おろすにしても私とかが口出すことじゃないし… 私が叩いた分で美帆だって、わかってくれるよね…。 彼女たちに知られたくないんだろうし。 「消化不良な集まりだったな…。」 「あの子、昔は、あんなバカな女じゃなかったのに……。」 夏帆に劣等感でも、あるのかしら… 美帆の方がいつもモテたし、 性格は大違い。 はあー。盛大にため息をついた。 「もしもし、棗?」 『綾華?どう?美帆帰った?』 「なんか、疲れてたみたい。 とりあえず帰ったわ…夏帆は?」 『うん。お酒飲んで、泣きつかれたみたいで寝てる…。 さっき、真侑も迎えがきて帰ったから、店には私と夏帆だけよ。 今日は、うちに泊めるわ。ちょっとここじゃ聞こえないから、場所変えるわね。』 棗だけか……。 夏帆に聞かれたくないのも察して移動してくれたみたい。 さすが、棗。 美帆のお産に付き合った真侑がいないなら… 棗には言おうかな。 「あのね、美帆、妊娠疑いあるみたい… 設楽さんの子じゃないかも…って。」 『そんな気がしたわ……。 綾華が来るまでの間に何度かトイレに行ってたし、 シャーリーテンプルばかり頼んでたのよ。 下の子、母乳やめたって聞いてたのに… 怪しいなって……また妊娠?って 私は思ってたから。 夏帆からホテルの件を聞いて確信したわ。』
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