偽装恋人契約

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苦しくて暑い。 もうしばらく着物なんて着ていなかったから、いつもと変わらない動きを取ったせいで身体に負荷が掛かっていた。 彼は笑みを浮かべたまま、私にこの後の行き先を尋ねる。 「どちらまで行かれるんですか?」 「あ、えっと……、学園前まで……――――――」 彼とは初対面のはず。 しかし私は、反射的にその問いの答えを口にしていた。 今いる大通から2つ先の駅。 札幌随一の繁華街・すすきのから程近い、豊平川の東側地域にその駅はある。
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