偽装恋人契約

13/29
前へ
/70ページ
次へ
酔っ払い立ち眩みを起こした。 きっと私の姿は、隣に立つ彼の目にそう映っていたのかもしれない。 腕に力を込め、よろよろとしながらもその場に立ち上がる。 その様を見た彼は、胸を撫で下ろすかのように小さく溜め息を吐いた。 「良かった……!! 自分で立ち上がる事ができて安心しました。 下車した後もお気を付けて!」 そう彼が口にした直後、手を掛けていた転落防止柵が開いた。 地下鉄から降車してくる人の波に阻まれ、彼との距離が自然と開いていく。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

369人が本棚に入れています
本棚に追加