偽装恋人契約

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母からの贈り物。 大事な用があるから同行しろと言って、今日私にこの着物を着てくるよう抜け抜けと促した両親。 詳細は伝えられないまま。 ただ、急いで大通公園前のホテルに来て欲しいとだけ告げられ電話は切れた。 夕方まで特別予定はない。 だから私は、両親に言われた通り、この衣装を着付けて大通へ向かったのに……。 そこで待ち受けていたのは、不本意な出会いと過保護な気遣い。 さすがに呆れた。 だから私は、今こうやって窮屈な着物姿のまま、理不尽な束縛から逃れるために走っている。
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