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怒りと困惑で涙も出ない。
唐突に会いにきたかと思えば、前振りもなくこんな事って……。
「……ッ!!」
足の指に食い込む鼻緒が痛い。
それでも私は、自分に嘘を吐いた両親の元から少しでも離れようと必死になっていた。
人々の注目を浴びながら、地下鉄の改札へ続く階段を下りていく。
ほぼ毎日下りているはずのこの階段も、和装の今は、とても長く不慣れに感じる。
どうしてこんなにも心配されるのか。
その理由は、自らが犯した失敗と私の経歴にあるのかもしれない。
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