偽装恋人契約

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痛い足を引き摺り、ようやく辿り着いた地下鉄のホーム。 市営地下鉄の中で一番新しい東豊線。 そこに立つ私の額には、べたべたした汗がじっとりと滲んでいた。 7月の3連休の真ん中。 30℃を超える気温とカンカン照りの空の下走ってきたせいか、息切れだけじゃなく眩暈もする。 ふらりとよろけ、目の前にあるホームの柵に凭れ掛かった。 この街に住み始めた頃は、まだこの転落防止柵が地下鉄駅に設置されていなかったはず。
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