第1章

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『あ、愛ちゃん下来て!実君のニュースやってるよ!』 急いでリビングへ行く。 〈ーー...タレントの小坂実さんが芸能活動を休止すると自身のブログで明かしました。〉 芸能活動...休止? リビングに冷たい空気が漂う。 きっと全国の家庭でも同じ状況だろう。 「なんで?なんで?ねぇ、なんでなの?」 お姉ちゃんが激しく取り乱す。 その状況を今帰ってきたばかりの兄が不思議そうな、若干引いてる様な顔で眺めていた。 『でも急に芸能活動休止なんて...何があったのかしら...』 たしかに... お姉ちゃん程ではないが私も少し動揺している。 最近頻繁にテレビに出てたからその疲れだろうと納得することにした。 「多分、過労で体調崩したんだよ。しばらく休んだらまた復帰するって!」 今にも倒れそうな母とヘドバン繰り返してる姉にフォローの言葉をかけた。 問題は...夏が終わったこと。 体調を崩しているのならお出かけの話はなかったことになる。 まぁ、しょうがない。 小坂君の体調が第一だから。 少し悲しかったがさっさと自室へ戻った。 『残念だったね。』 きっとそれは自分にも投げかけているんだろうなと感じながら1つの疑問が浮かんで来た。 「ハツちゃん1人で飛んで小坂実君の所いけばいいじゃん。そんでいけそうならそのまま憑いちゃえばいいのに。」 『それじゃつまらないじゃない!恋っていうのはね!少し障壁があるくらいが燃えるのよ!』 あなたの場合は障壁どころじゃないけどね、と思ったがそれを言うより眠気の方が勝ったらしくそのままストンと眠りに落ちた。
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