第1章

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小坂家とのキャンプが決まってからというもの、母の機嫌がすこぶる良い。 最近の我が家の夕飯はハンバーグやステーキ、お寿司、チキンと言った普段の食卓ではあまり出ないようなメニュー続きになっていた。 初めの方は嬉しかったものの1週間後には胃が限界を訴え始めた。 「脂っこすぎる...美味しいものは何故こんなに脂っこいのか...」 とうとう文句が口に出るくらいまで重症化していた。 あと少しで小坂君に会えるというのに。 鏡を見る。 「はぁぁ...」 『あらら...』 私の顔が無数のニキビに覆われていた。 呪いか? 呪いなのか? 小坂ファンが嫉妬で私にニキビの呪いをかけたのか? 「んなわけあるかっつの。」 原因はどう考えてもアレしかない。 寝る前にはニキビ薬を顔につけ、ニキビに効く薬を飲む。 「あと少しなのに効くのか?」 そんなことを言いながらもやはり心の中では効いてほしいと思いながらベッドに入る。 『治るといいね~』 ニキビなんて縁のなさそうなハツちゃんが私のニキビを痛々しそうに見つめている。 「このまま小坂君とのキャンプまで治らなかったら私...どんよりする」 『死ぬ、までいかないだけいいわ。どんよりしてなさい。』 次の日、目が覚めた私は鏡をまっさきに確認した。 案の定治ってはなく毎日まいにち続けた薬の努力むなしくキャンプ当日まで私のニキビは治らずにいた。
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