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「せっかく実君に会えるっていうのにアンタそのどんよりした顔は何?」
「この子ニキビが全然治らなくて落ち込んでるのよ。」
おかしい。
おかしすぎる。
なぜ、同じ食べ物を食べていた母も姉もニキビになっていないのだろうか。
私は目的地のキャンプ場までの道のり中、車内でずっと考えた。
『まぁまぁ、そんなに険しい顔しないの!ニキビがあっても可愛いよ?』
ハツちゃんのフォローなんてなんの癒しにもならない。
「あと10分くらいで着くかなぁ...お、小坂君はもう着いたらしいぞ。」
父のその言葉に緊張が増す。
小坂君に会えるという緊張と
同時にこの最悪な顔を見られるという緊張
恥ずかしい。
スカートの裾をキュッと握る。
『そんなに握ると後残っちゃうよ~...気持ちはわかるけどせっかくのキャンプ!思いっきり楽しもう?ね?』
わかってるけど...
わかってるけど気持ちはどん底。
「小坂実ってやつ俺よりカッコいいのかな。」
「馬鹿言ってんじゃないよ!比べ物にならないわ!実君はねぇ...」
突然の兄からの言葉に驚く私。
と怒る姉。
確かに妹の私から見ても兄はカッコいい...と思う。
『まぁ、カッコいいんだけどね~。なんかオシイって感じ。』
それはハツちゃんも同じらしい。
「着いたぞ~」
父の言葉で2人の喧嘩は収まり、私の鼓動もヒートアップした。
「あ~小坂君久しぶり~。ゴメンね、急にキャンプいこうだなんて~。」
「いや、いいんだよ~ちょうどいい機会だし。気分転換にもね。ほら実!登!挨拶しなさい。」
私はニキビを隠そうとうつむく。
「はじめまして...実です。よろしくお願いします...。」
実君のすごく低くて疲れ切った声に驚いて顔をあげる。
「『え....なんで...』」
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