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なんとこの悪霊、小坂実君のみならず弟の登君まで取り憑いているのだ。
なんて欲張りなのか。
「残念だったねハツちゃん。先客がいたよ。」
『元々取り憑く予定はありませ~ん!』
『...でもアイツ”好き”だから憑いてる、というよりは何か”恨み”みたいのがあって憑いてるって感じがするな~。』
言われてみれば確かにそうだ。
普通好きな人の首を絞めて無理やり苦しませようなんて事はしないはずだ。
...例外を除いては。
悪霊さんも見るからに恨みを持っている顔をしている。
何かあったのだろうか...。
『あ、そういうプレイが好きな子なのかも知れないねぇ~。あはは。』
「そんなことよりあの悪霊を追っ払うことに集中しなきゃだよ。3日でどうにかなるのかぁ?」
『......少しは突っ込んでくれたっていいじゃない!!愛ちゃんのバカァっ!!』
ようやくバーベキューの準備も終わり楽しいたのしい時間の始まり。
悪霊はまだ登君に取り憑いている。
何か変わったことと言えば首を絞めるのをやめたくらい。
今度は登君の頭の上で逆立ちをしている。
『すごいアクロバティック。』
そう、すごいアクロバティックな悪霊らしい。
準備中に何度かハツちゃんが攻撃を仕掛けに行ったが全てかわされ見事失敗に終わっている。
運動神経抜群で頭もキレるハイスペックな悪霊なのだ。
「初めての悪霊なのに難易度高くね?」
小声でハツちゃんに話しかける。
ハツちゃんは全て失敗に終わったことが悔しいのか拳を握りしめてワナワナと震えていた。
『絶対勝つ。』
ボソッと呟いたハツちゃんの言葉に少し驚く。
あれ?
いつから勝負になってたんだっけ?
まぁ、いいか。
この勝負受けてたとう。
女2人の視線などまったく気づかない悪霊は登君の頭の上でブレイクダンスを始めた。
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