第1章

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”視える”といってもたくさん種類があるはずだ。 なんとなく分かる霊感ちょっとありますタイプ、声が聞こえるタイプ、ガッツリ視えるが会話ができないタイプ、ガッツリ視えるし会話も可能なタイプ これ以外にもいるだろう。 私はこの1番最後にあたる。 先ほど話したとおり私は髪の長い女の声を聞き取ることができた。 あの後落ち着きを取り戻した私は勇気を振り絞り女に「視えるとは何ですか」と答えはわかっていたけれどあえてとぼける作戦を実行した。 運が良かったのかこの女、すごく気分が良かったらしく”視える”ことについて詳しく説明をしてくれた。 要点をまとめるとこうだ。 ・”視える”とはもちろん幽霊(死者の魂)が視えるということ ・感じ取ってくれる人は多いが視える人は本当に少なく彼女が会った中で私は3人目にあたるということ ・さらに視える人の中で会話ができる人には初めて会ったということ 受験でいっぱいいっぱいだった私は何故かこんな、普通あり得ないだろ?!という話を当たり前のように受け入れた。 そのくらい追い詰められていたのだ。 それが”変だ”ということに気付いたのはようやく受験も終わり無事志望校に受かってからのことである。 ここにきてようやく事の重大さを感じることができた。 なぜ視えるようになったのか 病気じゃないのか 仮に視えるのが現実(リアル)だとしてなぜ私だけが会話できるのか そんなことばかりを考える日々。 あの日、家に着いてから両親や兄と姉にさりげなく幽霊の話題を入れたところ存在しないものを考えるより今目の前にあること(勉強)をしなさいと怒られた。 どうやら遺伝ではないらしい。 しかし、1番理解できなかったのは あの時出会った髪の長い女がいつのまにか私の生活にピッタリとくっつくようになったこと。 (中3の秋の私の順応性の高さも理解できない考え事の1つでもあるが。) そんな私はこういう悩みを抱えながら現在高校1年生。これまた普通の女子高生になった。 また髪の長い女は今私の隣でバラエティ番組を見ながら一緒に笑いあっている。
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