第1章

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あれから幽霊たちと暮らすようになってわかったことがある。 それは頻繁に幽霊には会わないこと。 こんな能力(とよんでいいのかわからないけどここでは能力ということにする)を手に入れる前は今この瞬間にもたくさんの幽霊とすれ違ってるのかなぁと思いながら下校した時もあった。 しかし実際は近所の大型スーパーで友達や友達の親と会う確率と同じようなものなのだ。 つまり 運が良ければまぁ会うんじゃない? というレベル。 それにコチラが驚くくらい怖くない。 むしろ優しくておだやかな方が多い。 そりゃそうだ生前は私たちと同じような人間だったのだから。 今のところ私は悪霊というものを見たことがない。しかし髪の長い女(これから髪が長いということなのでチョウ・ハツのハツちゃんと呼ぶことにする)が言うには悪霊というのは存在するらしい。 人間の中にいい人たちばかりでなく少し怖い人がいるように幽霊の世界も同じようにできているとのこと。 暇つぶしがてら人を驚かしたりする地上(ここ)の言葉ではひょうきんと呼ばれるような幽霊もいるというのだ。 一度会ってみたいな、とつぶやくと 『悪霊に?あなたはこの世界のことを何もわかってないんだわ...悪霊に会うって言うのは殺し屋に会うっていうのと同じくらいハイリスクなことなのよ?!』 とものすごい形相でハツちゃんに怒られてしまった。 ハツちゃんと一緒に生活してる時点でだいぶハイリスクなことをしてるはずなのだがハツちゃんが今まで見せたことないような顔で言ったもんだから「嘘です...」と言わざるを得なかった。
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