第1章

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小坂君は20歳。私より5歳も歳上なのだ。 姉は19歳。小坂君と歳も近い。 こうなると確実に姉に負ける。姉よりも大人っぽさを演出しなければならない。 理由はもちろん 小坂君とあわよくば恋をする関係になるため! 人生はそんなに甘くないとどこかの誰かが言った。しかし今私は家族ぐるみで小坂君と遊ぶことができるのだ。なんて甘い人生なんだろう。 視えてしまうことを除いては。 ニヤケ顔でハツちゃんを見たら、ハツちゃんも同じ様な顔をしていた。 「どの服着て行けばいいかなぁ...」 クローゼットを開けて考える。 ワンピースもいいし。 この間買ったばかりのTシャツもいい。 お出かけをするのはまだ先なのに、考えが止まらない。 『女の子ねぇ~。私も出来るのなら目一杯おめかししたいわぁ。』 「すればいいじゃん。」 『チッチッチ~...いくらおめかししようと視えてなきゃ意味ないんですよ~』 そうか... 全員が全員視えるわけじゃないのか。 『それにどうせ結ばれるわけじゃないし...』 そのままハツちゃんは部屋の隅に行き体操座りをした。 「ごめん。変なこと言った。」 『いいの。気にしないで。どうせそういう運命だから。』 そう言う割にはかなり落ち込んでいる様に見える。 「まぁ、オシャレしなくてもハツちゃん可愛いし?大丈夫だと思うよ。」 そんなこと言ったくらいでハツちゃんの機嫌が良くなるわけではなく、その日はずっと部屋の隅で体操座りをしていた。 ようやく機嫌がなおって、いつも通りに戻ったのはそれから3日後の話だった。 いつも通りのハツちゃんに戻ったところでいつも通り私もクラスメイトと小坂君の話で盛り上がる。 後ろでハツちゃんが他の幽霊に『夏休み中に小坂君とあえるんだなぁ~』と身体をウネウネさせながら自慢していた。 出来れば私も自慢したかったがそんな事は言えず、今週の僕日は良かったと一緒になって感想をいいあう日々を繰り返しようやく終業式。
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