第1章

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入学当初はこの学校にいる全ての幽霊と仲良くなろう!なんてこと考えていたけどクラスメイトに憑いている幽霊3人(ハツちゃんは除く)と少し会話をするくらいで断念した。 それともうひとつ、私と同じ能力を持っている人を探すこと。これも入学して3日後、見つけたところで何の特にもならないから、という理由で断念した。本当はただ面倒臭かっただけだが。 クラスメイトにそれっぽい子がいたけれど、ちょっと霊感ありますタイプのくせに私幽霊見えちゃうんだよねぇと周りに豪語していた為好感度ダウン。 名は海貝吉見(うみかい よしみ)という。 みえちゃう、みえちゃう~と話している彼女の前を本気バージョンのハツちゃんが何度も往復しているのを見て笑った記憶がある。 もちろん彼女は気づいていなかった。 「...ということなので9月1日。みんなが無事に揃ってくれることを祈ります。以上です。」 ようやく終業式を終え、残すはアイツだけとなった。 そう、成績表である。 『授業態度は悪いし~提出物は出さないし~愛ちゃんすっごく評価悪そう~。』 その通りなのだ。 流石に自覚はある。 だけど今回だけは...今回だけは嘘でもいいのでちょっと良い評価を得なければならない。 それはもちろん。 小坂実君の為。 母が納得する成績でないと旅行に行かせてくれないのだ。 「はい、今から成績表渡します。出席番号順にくばるのでならんで下さい。」 この瞬間はどの歳でもドキドキする。 「佐々木さん。はい、どうぞ。」 ドキドキ ドキドキ 「佐野さん。」 先生から呼ばれブツを受け取る。 これを開けば私の夏が決まる。 何度も心の中で復唱し覚悟を決める。 よし、開けよう。 『・・・・・』 「・・・・・」 ゴクリ...息を飲む... 『良かったじゃない!この成績なら大丈夫よ~小坂実君に会えるわ~』 学年順位は132位(280人中)と真ん中以上だった。 良かった。安心したせいかため息が漏れる。 これで私の夏は決まった。 クラスメイトの小坂実君好きの子に精一杯のドヤ顔を送る。 彼女は、成績でも良かったの?なんて笑いながら話しかけてきた。 小坂君に会えるのが楽しみで待ちきれないの!と言いたい気持ちを抑えて、そうよ、と返した。
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