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「おい美結(ミユ)。朝だぞー。」
青山理(アオヤマ ミチ)は台所から、まだ寝ている6歳の美結に声を掛けた。
「んぁ……?まだ寝る……。」
そう言うと、美結は頭からすっぽりと布団に潜ってしまった。
(しょうがないな……。)
理は起こすのを諦め、朝食の支度を続けた。
美結は保育園を2日前に卒園し、2週間後には小学校の入学式を控えている。
故に、今は早起きをする必要がないので、理も無理には起こそうとしなかった。
正午前に、むくりと美結は起き、テレビを観ていた理に抱き着いた。
「ん?どうしたー?」
「……ととさんが、どっか行っちゃう夢見た。」
ぎゅーっと抱きついてくる美結を見て、理も美結を抱きしめ、頭を撫でた。
「大丈夫だよ。どこにも行かないから。」
「約束?」
一瞬、ほんの一瞬だけ、理は悩んだが、すぐに
「あぁ。」
と返事をした。
良かったと笑う美結を見て、理は複雑な表情を浮かべた。
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