第2話 父娘(おやこ)

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「おい美結(ミユ)。朝だぞー。」 青山理(アオヤマ ミチ)は台所から、まだ寝ている6歳の美結に声を掛けた。 「んぁ……?まだ寝る……。」 そう言うと、美結は頭からすっぽりと布団に潜ってしまった。 (しょうがないな……。) 理は起こすのを諦め、朝食の支度を続けた。 美結は保育園を2日前に卒園し、2週間後には小学校の入学式を控えている。 故に、今は早起きをする必要がないので、理も無理には起こそうとしなかった。 正午前に、むくりと美結は起き、テレビを観ていた理に抱き着いた。 「ん?どうしたー?」 「……ととさんが、どっか行っちゃう夢見た。」 ぎゅーっと抱きついてくる美結を見て、理も美結を抱きしめ、頭を撫でた。 「大丈夫だよ。どこにも行かないから。」 「約束?」 一瞬、ほんの一瞬だけ、理は悩んだが、すぐに 「あぁ。」 と返事をした。 良かったと笑う美結を見て、理は複雑な表情を浮かべた。
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