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彼は、俺に1つも渡さずに平らげたスナックの袋をゴミ箱に捨てると、改めて話し出した。
「それさ、3日間限定の使い捨てラジカセなんだよね。」
「待て。ラジカセに使い捨てとかあるか?」
「だって、説明書に書いてあるんだもん。」
「説明書あるんだ!?」
「まぁとりあえず、なんか色々機能は付いてんだけど、使い捨てだから売れないんだよ。」
また変な物を持ち込まれてしまった。でも、非常事態には使えるかなー。
「わーたよ。500円な。」
「へへっ。毎度どーも!じゃ、これ説明書なー!チョコごちそーさん。」
彼は用事が済むとさっさと帰る。暇な骨董屋とはいえ、商売人気質である。無駄が嫌いなのだ。俺は彼が帰るのを見送ると、早速段ボールを開けてみた。ふむ、ラジカセの割にはそれ程大きくない。携帯ラジオくらいか。そもそも、買ったはいいけど使えるのか?電源はどう供給するのだろうか?電池を入れるソケットも、電源コードも見当たらないが、とりあえずスイッチを押してみる。
ザァー……。
砂嵐の音がする。チャンネルをいじるが、どの局も砂嵐だ。
「なんだよ。使えねーじゃん。」
ラジカセは悪くないが、俺は軽くチョップを喰らわせた。
ブツッ………。
「あ、やべ壊れた。」
とうとう砂嵐も聞こえなくなってしまった。
「まぁいいか……。寝よ。」
どうでも良くなり、俺は本日何度目かの昼寝を始めた。
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