第1話 3日間の友達

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彼は、俺に1つも渡さずに平らげたスナックの袋をゴミ箱に捨てると、改めて話し出した。 「それさ、3日間限定の使い捨てラジカセなんだよね。」 「待て。ラジカセに使い捨てとかあるか?」 「だって、説明書に書いてあるんだもん。」 「説明書あるんだ!?」 「まぁとりあえず、なんか色々機能は付いてんだけど、使い捨てだから売れないんだよ。」 また変な物を持ち込まれてしまった。でも、非常事態には使えるかなー。 「わーたよ。500円な。」 「へへっ。毎度どーも!じゃ、これ説明書なー!チョコごちそーさん。」 彼は用事が済むとさっさと帰る。暇な骨董屋とはいえ、商売人気質である。無駄が嫌いなのだ。俺は彼が帰るのを見送ると、早速段ボールを開けてみた。ふむ、ラジカセの割にはそれ程大きくない。携帯ラジオくらいか。そもそも、買ったはいいけど使えるのか?電源はどう供給するのだろうか?電池を入れるソケットも、電源コードも見当たらないが、とりあえずスイッチを押してみる。 ザァー……。 砂嵐の音がする。チャンネルをいじるが、どの局も砂嵐だ。 「なんだよ。使えねーじゃん。」 ラジカセは悪くないが、俺は軽くチョップを喰らわせた。 ブツッ………。 「あ、やべ壊れた。」 とうとう砂嵐も聞こえなくなってしまった。 「まぁいいか……。寝よ。」 どうでも良くなり、俺は本日何度目かの昼寝を始めた。
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