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富山静留は腰に備えていた大きな葉を取りパッパと払うように闘牛を払う。
オババの富山静留に続き、他のノロも闘牛を囲い葉で体を振り払う。
言わずもがなノロは俗にいう神の声を聴くイタコ。全員女性だ。
闘牛を怖くはないのかしら。。
「お~い、天音(アマネ)、この牛、寺まで引っ張って来い」
「ええ~めんどくさいなぁ。」
そうオババに呼ばれ群衆を割ってくる人がいた。
ヒョイと私の手から片手で本を掴みとる。
同じノロだ。だけど若い。髪がボサボサで長い。
化粧っ気が全く無い為にはっきりと分からないけれども20代後半くらいかしら?
私には目もくれず闘牛の前に出る。
「おい、牛、しゃがめ」
「へっ馬鹿か。鬼丸は俺の言う事以外は絶対に聞かねぇよww」
「お”い。」
アマネと呼ばれたノロが闘牛の角を掴む。
「しゃ・が・め」
も”もぉ”----と牛が大きな声を上げた後、膝を折りしゃがんだ。
「な”っ」
俊一が驚きの声を上げる。
おおおーーーと周囲からは歓声が上がる。
「おいすずちゃん。あのアマネって子凄いな。流石はわが娘スズネと似ている名前だけの事はあるな。」
「お”い立て、鬼丸。今すぐだ!!!」
そう言って俊一が手綱を引くも鬼丸は微動だにしない。
「よっと」
飛ぶようにアマネが鬼丸の背にまたがった。
「てぇめぇ、何を勝手に鬼丸に乗ってんだ!!」
「あんた誰だ?さっきから騒がし鬱陶しい。」
「てめぇこのアマぁ」
「およし俊一。」
オババの忠告空しく俊一がアマネに掴みかかった。
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