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新しい家。
201号室。
思ったよりも片付けられていた。
「どうだ。綺麗に片付けられているだろう。」
得意げな父、拓郎の顔が癪に障る。
少し早めの朝食を食べ終えた後、拓郎が切り出した。
「おっしゃあ。それじゃあさっそく出かけるぞ。父さんの同僚のところだ。鈴音と同い年の女の子がいてさぁ、奄美に鈴音が着いたら紹介するって話したろ。」
あっ、そういえばそんな話をしていた。
だが私は今日、行きたいところがある。
そう。富山静留が住む古仁屋の町だ。
「お父さんごめん。ちょっと私、古仁屋に行きたいんだけど」
「古仁屋ぁ?何でまた?ちょっと遠いから明日にしないか?」
私は、奄美大島の支配を遅らせるわけにはいかない。
少しでも早くギルバート様に報告したい。
「お願い。 パパ」
拓郎がすかさず携帯を取り出す。
「おお、相棒、ゴメン。今日ちょっと行けなくなった。おぅちょっと俺の親父が調子崩して病院に入る事になってさぁ。そう中央病院。だからまた今度な」
昨日の電話であんなに元気だったうちのお爺ちゃん留蔵(トメゾウ)が入院する事になったらしい。
ごめんお爺ちゃん。
「しゃー。今日は古仁屋に行くぞ。古仁屋に。せっかくだから加計呂麻にでも渡ろうかwww」
「あらいいわねぇ」
「やったーーー」
加計呂麻だと?拓郎の馬鹿野郎、余計な事を。
古仁屋の町でどう皆をまこうか・・。
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