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姿が見えなくなった途端に 膝がカックンと崩れ落ち ドタン、と尻餅をつく。 「やだぁ、杏、どうしたのー」 「え、や、あ」 しどろもどろになる私を クラスメイトは笑いながら抱えてくれた。 今ので 全部 今日のパワーは使い果たしたと、思う……。 ソレくらいに 全身全霊をかけて会話をした。 掌を開いて 見てみる。 汗で湿ったそこは 細かく震えていて よく、よく、手話ができたな、って 先輩が立っていた 私を呼んだ窓際を見て はぁー、とため息を吐いた。
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