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御剣先輩の左耳は
もう、だいぶ前にその本来の働きを失ってしまった。
そして
唯一、音を感じる為の右耳も、多分、私の拾う事のできる
3分の1くらいの音しか感じられない、という。
だから
補聴器をつけて、ある程度の幅の音をちゃんと拾えるように
するんだ。
そうじゃないと
公道を走る事以前に
免許の交付すら難しい。
「乗って」
先輩の声は
低くて、掠れていて
真面目にセクシーで
「はい」
性懲りもなく、ドキドキする
不謹慎なわたし。
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