10/31
前へ
/155ページ
次へ
御剣先輩の左耳は もう、だいぶ前にその本来の働きを失ってしまった。 そして 唯一、音を感じる為の右耳も、多分、私の拾う事のできる 3分の1くらいの音しか感じられない、という。 だから 補聴器をつけて、ある程度の幅の音をちゃんと拾えるように するんだ。 そうじゃないと 公道を走る事以前に 免許の交付すら難しい。 「乗って」 先輩の声は 低くて、掠れていて 真面目にセクシーで 「はい」 性懲りもなく、ドキドキする 不謹慎なわたし。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5657人が本棚に入れています
本棚に追加