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マネージャーの幸子(シャチ)は シッカリお姉さん。 部員みんなの面倒をよく見てくれる。 そんなシャチに助けてもらう事は日常茶飯的な事だった。 彼女と幼馴染みと呼ばれる位置にいる私は 昔っからシャチに世話になりっぱなし。 「杏、今日は先輩と帰る日?」 シャチに声をかけられて 首を左右に振る。 「だって今日は火曜日だから」 御剣先輩と一緒に帰るのは水曜日と金曜日って 決めてあるし。 「でも、待ってる風じゃない?」 部室を出て シャチの長い指が向く方に いつもと変わらない先輩の姿が見えた。 校庭から中庭に続く迄の数えて3つ目のベンチに座った先輩を見て、首を傾げる。 「……なんで?」 ‘じゃあねー’ ‘またねー’ 皆のバイバイが続く中 シャチが私の肩にポン、と手を置いて 「また明日ね、杏」 そう言って、追い抜かして行った。
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