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「杏」 「はい」 「御剣くんを部屋に入れたのか」 「はい」 ここで効果音‘チーン’が欲しい。 ソファがあるにも拘わらず あえて絨毯の上に二人して正座する。 「男子は獣なんだぞ? 密閉された空間で二人なんて、危機感を持て」 「先輩は違うもん」 「杏」 「先輩は襲って来ないし 手も出さないし、キスマークだってつけないよ!」 「キスマークが付くような事になったら 兄は御剣くんにお話しにゆきます」 真面目腐った顔で私をジッと見つめるお兄ちゃん。 「お兄ちゃん」 「なんだい、杏」 「お兄ちゃん高校の時って、どんなお付き合いしてたの?」 お兄ちゃんは一瞬目を見開いて だけど、ソレは直ぐに細められる。 「オレは、ケダモノ」 「は?」 「だから、杏が心配なの」 お兄ちゃんは正座のまま私に詰め寄ってきた。 「世の中オレみたいな男ばっかりだから 杏にはそんな奴等に引っかかるような女の子にはなってほしくないんだ」 「……」 「嫌でも何でも、必ずいずれは経験する事になるんだし その場のノリでどうこうなってほしくない」 「お兄ちゃん……その場のノリだったんだ……」 マジマジと見上げる私 軽く咳払いするお兄ちゃん 「ホントに好きな人と結ばれるのが一番大事な事だと思わないか?」 私の頭を撫で下ろす掌は 先輩くらい大きくて お兄ちゃんも今は一番大事な人を抱っこしたりしてるのかなぁと ちょっと心配になった。
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