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「確かに難しいよね 気にしないでくれ、って言われても気になるよ。 だってあたしらは聞こえるんだもん 何不自由なく、聞こえる」 私は悔しくて唇を噛んだ。 「だけど、杏、それでも好きだったんでしょ? 遠慮するのは拒否られてからにすれば?」 「うっ」 シャチは意地悪をしたんじゃない。 私を元気づけてくれたんだ。 私がいつまでもダラダラとしてるから シャチは背中を押してくれたんだ。 「しゃちぃぃぃぃぃ」 先輩に会いたいのも我慢して 先輩にしたら 耳の事なんて私にどうこう思われたくナイはずだ。 勝手に気にしていたのは 紛れもなく私。 シャチの言ったそのまま 先輩に遠慮した。 ヨシヨシと頭を撫でてくれるシャチは 「好きならもっかい会いにいきな」 「うん」 「しっかりしな、杏!」 「……うん」
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