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「さ、校庭に行きましょう。一学年の全体写真を撮りますよ」
俺の肩を軽く一叩きし、Cクラスを先導する。
「当たりだな、俺ら」
蓮之介が肩を並べてくる。
「あぁ。つーかお前本当にそんな格好で入学式出たのかよ」
「丈を間違えたって泣き入れたらなんとかなった。明日から何とかしろって言われたけどな」
「丈がどうこうの問題じゃねぇだろ 」
「んなことよりお前こそなんで短ラン着てこなかったんだよ」
「誰が着るもんかダセェ。それにお腹壊しちゃうだろ」
「はぁッ!? こんなに渋い学ランがダセェだと!?」
晴れて高校生になった所でまたこいつとの学生生活。やはり代わり映えは皆無に等しい。
校庭には目測百五十人ぐらいの生徒が集まる。都心部の学校だと一学年だけでもこんなに人数が多いのか。これでも巨大学園内の中では人数が少ない方の学校らしいから驚く。
写真撮影はスムーズに事を終えた。初日なだけあって浮かれた生徒もいないからだろう。騒がしい生徒はいなかったが、俺のことをじっと見てくる黒髪ショートヘアの少女が気掛かりだ。女の子にずっと見られている、これはもう一つの春の予感、とか最初は舞い上がっていたが、あの目はそういう目じゃない。なんというか、管理をする人間の目だった。
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