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「まっ、また会う事なんて無ぇだろ。それよりも早く俺達の城へ入ろうぜ」
蓮之介は扉の鍵を開ける。そしてドアノブを握り振り返ってこう言った。
「それでは拝見」
扉が開いた先に見えたのは。
「えっ、つまんな」
一言目にそんな感じだ。内装は十畳一部屋にキッチンとトイレと風呂が付いているぐらい。学生が暮らすには申し分無いはずだが、理想が高かった俺からすればつまらなかった。
だが一度入ってみれば、なかなかどうして居心地が良い。造りの古さが実家と似ているのか、新居なのに落ち着ける空間だ。ただ問題は男二人で一部屋を使うこと。
「あれだな。男二人の一部屋じゃ落ちついてオ」
「言うなわかってる」
蓮之介に遮られる。やはりこいつもいち早く気付いていたようだ。これぞ男の性。
「家具や荷物は夕方届くってよ。それまでどうする勢刃」
「俺は寝る」
即答する。別に寝るのが好きな訳ではない。退屈な時間をただただ暇に過ごすのが面倒くさいだけだ。
「そうか。じゃあ俺は近所に挨拶回りでもしとくわ」
「げっ、一人で挨拶回り?」
「どうせお前来ねぇだろ」
流石蓮之介。俺のこと良くわかってる。正直面倒くさくてしょうがない。
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