第一話 精霊都市と巨大学園

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*約八時間後  バッチリと目が覚めた。俺が昼寝から自発的に起きたときは決まって。 「あー……。夜になってる」  どうしたものか。いくら俺でもここからさらに眠りに入るのは難しい。かけられていた布団を畳んで立ち上がると、部屋に家具などが設置され、寝る前の殺風景な部屋から生活感溢れる部屋へと大変身していた。蓮之介が起きない俺を放って一人で全てやったのだろう。まだ空いていないダンボールがいくつかあるが、流石である。 「(近所の周りになにがあるかぐらい把握しとくかなぁ)」  新しい土地の案内をするぐらいしか今の俺に役目はないと思い、軽い運動がてらに外へと散歩に出かけた。  外は肌寒いが、夜中でも街灯などでかなり明るい。実家ではほぼ暗闇だったので新鮮だ。 「(通学路の最短ルートでも探索するかな)」  学校の位置は昼に蓮之介から聞いた。だいたいの方向さえ理解すれば目的地には到着する。昔っから迷子にはならないのが自慢だ。  道中細い路地に入ったり、また戻って大通りを普通に進んでみたりと、感覚で距離の短い方を選んで行く。蓮之介いわく学校まで徒歩で三十分ほどかかるらしいが、十分短縮して二十分で行けるようにはなるだろう。こういう効率を考えてるときはなぜか楽しく、普段の俺では考えられない行動力が発揮される。
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