第二話 普通科精霊高等学校

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「はぁ……」  仕方なくワイシャツにネクタイを巻いて登校する。絶対に着ることはないだろう。現在時刻は九時二十分。学校に着くのは四十分頃だろう。  どんな顔をして行きゃいいんだ。どんは言い訳をすりゃいいんだ。そんなことで頭はいっぱいいっぱいで、こういう時に限って気が付けば目的地に到着してたりする。あぁ帰ってしまいたい。  とはいっても、やはり俺ほどの男となると息をするように嘘なんて吐けるため、打開策の言い訳なら何通りかすぐに用意できた。その中でも一番無難なのがこれだろう。  先ず誰にも見られずにトイレの個室へと篭る。式中の今なら容易い。そして式中であろう蓮之介に、メールで口裏を合わせさせる。俺が腹痛でトイレに篭り体育館に行きそびれ、迷子になった所をメールをしたという提にするのだ。    そうと決まれば即作戦開始だ。俺はコソコソとせずにいっそ堂々と校門を通る。下駄箱までの道のりで花壇や大きな噴水を見つけた。それだけでも中学校とは違う雰囲気を感じる。下駄箱はいたってシンプルで、学年とクラス分けに靴箱が並んでいる。ちなみにクラス分けは入学前から決まっていて、俺と蓮之介は同じクラスだ。なんというか、本当に腐れ縁と実感する。
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