第一話 精霊都市と巨大学園

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 行き交う人々はスーツや学生服、私服でもカジュアルな服装だが、三人組は色違いのロングコートを羽織り、先頭を歩く男に関しては身の丈ほどある大剣を背負っていた。三人とも辺りを見渡しながら歩いている。その表情や行動は、まるで街の治安を守る警察のようだった。 「おい蓮、あれ見ろよ」  俺は三人組を顎で指す。 「んだぁ? あのバカでけぇ剣は……」 「あんなもんで斬られたら一発で刺身になれるぜ、蓮」 「んー……。まぁ言いてぇ事はわかる。確かに斬られたら一溜まりもなさそうだな」  数分間、三人組を観察していると、大剣を背負う男が右手を耳にあてて、誰かと通信し始めた。そして一通りの会話を終えたと思えば、振り返って二人に何か話している。  瞬間、三人組は常人離れした脚力で飛躍し、建物から建物に飛び移りながら消えて行った。 「おいあれって……」  しかし、蓮之介はあまり驚いた様子を見せない。俺もそうだ。なぜならあれは。 「あぁ。〝精霊士〟だな」  精霊士。精霊を覚醒させた人間を指すいわゆる能力者の事だ。俺の口頭から説明するのはとても面倒なくらい複雑な力で、精霊士になると取り敢えず運動能力が飛躍する。中学の頃に習ったが、正直そのくらいしか覚えてない。それぐらい複雑だったというのは覚えている。
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