1人が本棚に入れています
本棚に追加
「よォ勢刃、俺らも高校入ったらあんな精霊士になれんかな」
そう、俺らが入学する普通科精霊高等学校では先ず精霊の覚醒から授業が始まる。先々何かと便利なのが精霊士という大きな資格であり、むしろ必須であるくらい重要なステータスである。
「頑張りゃなれんじゃね? 生まれ持った精霊の属性に左右される訳じゃねぇし」
「そうだな。あー、自分がどんな属性の精霊かスゲぇ気になんぜ」
精霊には確か八つの基本属性が有った。自分の属性は大体家系で決まる。例えるなら血液型のようなものだ。
「いや、お前の苗字で雷じゃないってどういうことだよバカか」
ちなみに蓮之介の雷坂家系はそこそこ名門な雷の精霊を有する一族だ。だから蓮之介が雷の精霊じゃなかったときは超バカにする。
「いや分かってんだよ、んな事。なんつーか、いいよなお前は俺と違ってなんの属性か目星つかなくて。俺にもそのドキドキ感くれヨ」
「髪赤いし炎の精霊とかじゃないっすかね」
「安直すぎんべ」
そんないつも通りのくだらない会話をぐだぐだとしながら、これから俺らが生活する寮へと向かう。徒歩三十分と蓮之介から聞いたときは死にたくなった。
道中、適当なファミレスで昼飯を済ましたり、可愛い女の子の尻を二人して目で追ったりと。二人してやっていることは中学から何も変わらない。違うものは街並みぐらいで、通り過ぎた学校の数には驚かされたり、頭が良さそうな同年代が多くて焦ったりだった。
そして。
最初のコメントを投稿しよう!