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「着……着いたぁ」
やっと寮に到着した。今すぐにでも横になりたい気持ちを抑えるのに大変だが、先ずは大家に挨拶をしなければならない。らしい。
「にしてもなんつーか、ふっつーのアパートみたいだな」
理想低めの最低ラインだとしても綺麗なマンションのような物で及第点と想像していただけに落胆する。言っちゃあなんだが、ボロアパートじゃないか。
「いやまぁお前の言いてぇ事はわかんけどヨ、そんなに落ち込んでるってこたぁどんなもん想像してたんだヨ」
「オートロック式の超ハイテクマンションで三食作ってくれるメイドさん付き」
「アホか」
ですよね。
このアパートの所持者である大家は、学生を手厚くもてなすときく。現にこの二階建ての計十部屋のほとんどが学生だそうだ。それほど安価で、居心地の良い場所なのだろうか。
「あれ、ここじゃね?」
蓮之介は大家と書かれた表札を同じアパートで見つける。同じアパートに住んでいるのか。
「ここだな多分」
特に何も考えずに俺はノックする。すると。
「はーい」
なんと若い女性の声が返ってきたではないか。俺と蓮之介は顔を合わせる。蓮之介はキモい顔をしていた。多分俺も同じ顔をしている。
「どちらさんですか」
扉が開き、中から顔を覗かしたのは金髪ロングの美人だった。よし。俺は心の中でガッツポーズする。だけどあれ、煙草咥えてるぞ。
「あー、お前らが今日から入居する学生か」
「あっ、はい」
緊張してるのか、蓮之介の声が裏返る。
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