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『アキラ様がお前に言ったの聞いて、俺かなり慌ててたんだからな!』
拗ねたようにむくれて頬を膨れさせるナオト。そんな様子は子供の頃からちっとも変わっていない。ナオキはくすくすと笑う。
『笑ってんじゃねーよ!』
『すみません』
そう言ったナオトとナオキは顔を見合わせ、二人で声を上げて笑った。
『あの…』
突然声を掛けられ二人が振り返ると、そこにはタカノリが立っていた。
『お前、後継者の…』
『タカノリです』
ナオトに問いかけられタカノリが名乗った。ナオキはタカノリに向き合うと彼の肩に手を置いた。
『どうかしたのか?』
タカノリはナオキの顔を見つめる。まただ。何かを言いたげなこの瞳。ナオキはタカノリに優しく笑いかけた。
『言いたいことがあるなら聞くぞ』
タカノリは一度俯いたが、顔を上げると口を開く。
『お二人とも、俺を覚えておられませんか?』
タカノリの言葉にナオトとナオキは視線を交わした。ナオトは少し首を傾げ、ナオキはもう一度タカノリを見つめる。
『俺もお二人と同じ「スノードーム」の出身なんです。「放浪者」となられたお二人は俺の目標でした』
タカノリは強い瞳を二人に向けるとそう言いきった。
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