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ある日、朝日を見ながら歌っているタカヒロの元に王が姿を見せた。タカヒロはその姿に気づいて膝をつく。
『最近、歌い続けているな』
『はい』
『楽しいか?』
王の言葉はタカヒロの心を揺らした。最近の自分は歌わなければと思って歌っている。そのことを王は気付いているのだ。
『王…』
『タカヒロ。アツシが聞きたいのはお前が笑って歌う歌か、お前が己を責めながら歌う歌かどちらだろうな』
タカヒロは言葉を失った。その瞳から涙が零れ落ちていく。
王はタカヒロに歩み寄るとその肩に手を置いた。
『お前はこの世に二人しかいない「歌い手」だ。それを忘れるな』
そう言って去っていく王の後姿にタカヒロは跪いた。
『はい』
頬を濡らす涙を拭くと、タカヒロは王の背中に向かって叫んだ。
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