第3章

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『どうしようかな…』 「踊り手」の一人ショーキチは悩んでいた。これからどうするべきかを… ショーキチはオーストラリアの自然公園に来ていた。命に触れたい。それがショーキチの今回の旅の目的。 そしてその目的は達成されていた。 『可愛い!』 触ることはできなかったもののカンガルーの赤ちゃんが母親のお腹から顔を出しているのを見て興奮したり、産まれたばかりの小さな命をその手に抱いたりすることで命というものを実感できた。 ショーキチはかなり満足していた。が、ふと我に返って考えた。 「放浪者」たちは搭に戻ると王に何を見てきたか報告をする義務がある。そして仲間たちと顔を合わせた時にも、どこへ行き何を見てきたかを話すことがある。 王ならば何も言わないだろう。だが、他の仲間にこのことを話したら… 「動物の赤ちゃん抱いてはしゃいできたとか、お前は小学生か!」 「お前の目力で、動物に威嚇されたりしなかった?」 そんなことを言われないだろうか…と、くだらない心配をしていた。
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