第3章

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本来ならば一度「放浪者の搭」に戻るべきだが、もう一か所どこかに行ってから戻ろうか… しかし、どこに行く? 現在のショーキチはノープランのためどこに行けばいいのか思い浮かばない。 『そうだ』 ショーキチはポケットの水晶を取り出した。 『迷った時は水晶に尋ねてみろ』 以前顔を合わせた時にマツに言われたのだ。 ショーキチは水晶をじっと見つめる。水晶はショーキチの心に答えるかのように青い光を放ち始めた。その輝きを見てショーキチは微笑みを浮かべた。 突然、光が水晶を通り抜けて行った。尾を引いて走り去って行った光はとても優しく温かい物だった。まるでこの手に抱いた小さな命のように… 『そうか。俺が行くべきは仲間の所なんだな…』 ショーキチの瞳はすでに消え去った光がそこにあるかのように一点を見つめていた。その眼差しはとても優しさに溢れていた。
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